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【安全確保と職員支援】介護現場のリスクアセスメント実践ガイド

 

リスクアセスメントが出来なければ

崩壊する

 

 

 

 

介護現場におけるリスクアセスメントの実践ガイド

 

 


 介護現場では、高齢者や介護を必要とする方々の安全を守ると同時に、職員の働きやすい環境を確保することが重要です。

 

 しかし、介護の現場には転倒や感染症、事故など多様なリスクが潜んでおり、それらへの適切な対応が求められます。

 

 そのために欠かせないのがリスクアセスメントです。

 

 この記事では、介護職員や介護事業者向けに、リスクアセスメントの基本的な考え方や具体的な実施手順、注意点、さらにはその重要性を再確認する内容を、現場で実践しやすい形で解説します。

 

 

 

リスクアセスメントとは?リスクアセスメントの定義

 


 リスクアセスメントとは、現場の中で潜在する危険を特定し、それらの発生可能性や影響度を評価して、リスクを減少または除去するためのプロセスを指します。

 

 これは、介護業界に限らず多くの職場で用いられる安全管理の基本手法です。

 

 介護現場では、利用者だけでなく職員の安全も守る必要があるため、日常業務にリスクアセスメントを取り入れることで、施設全体の安全性と効率性を高めることができます。

 

 

リスクアセスメントの目的

 


① 利用者の安全確保

 


 利用者は加齢や疾患による身体機能の低下、認知機能の低下などにより、転倒や誤薬、窒息などのリスクが高まっています。

 

 リスクアセスメントを行うことで、事故を未然に防ぐことが可能なケースがあります。

 

 

② 職員の安全確保

 


 介護業務において、腰痛や感染症のリスクは常につきまといます。

 

 また、心理的ストレスも職員の健康に影響を与えるため、職員を守るための対策も重要です。

 

 

③ 施設運営の効率化

 


 リスクが明確になることで、無駄な作業を省き、効率的な業務フローを構築できます。

 これにより、介護の質を向上させつつ、職員の負担も軽減されます。

 

 

④ 法的トラブルの回避

 


 労働安全衛生法介護保険法に基づき、リスク対策が義務付けられています。

 

 リスクアセスメントを実施しない場合、行政指導や罰則の対象になる可能性があります。

 

 

リスクアセスメントの具体的な実施手順

 


① リスクの特定

 


 リスクアセスメントの最初のステップは、現場に潜むリスクを洗い出すことです。

 

現場観察


 利用者の動線、施設の設備、作業の流れを詳細に観察し、事故や負傷の可能性がある箇所を特定します。


 例)廊下の段差、滑りやすい床、清掃不備など。

 

ヒアリング


 職員からヒヤリハットや不便を感じている作業内容について意見を収集します。

 

記録の確認


 過去の事故報告書やインシデントレポートをもとに、リスクのパターンを把握します。

 

 

② リスクの評価

 

 リスクの評価を行う場合はABC分析が適しています。

 過去記事のABC分析を参考にしてください。

carestepzero.hateblo.jp

 

 

3 リスクへの対応

 


 評価に基づき、具体的な対策を講じます。

 

物理的改善


 例)手すりの設置、段差の解消、滑り止めマットの配置。

 

業務フローの見直し


 例)利用者の移動時の補助体制を見直し、負担の分散を図る。

 

教育と訓練


 定期的な研修を実施し、職員の技術向上を図ります。

 

記録とモニタリング


 実施した対策が有効かを確認し、必要に応じて見直しを行います。

 

 

リスクアセスメント実施時の注意点

 


① 現場職員の意見を重視する

 


 現場の声を取り入れることで、実効性の高い対策が可能になります。

 職員が納得しない対策では、効果が薄れる可能性があります。

 

 

② 利用者の個別性を考慮する

 


 利用者の身体状況や生活習慣は多様です。

 一律の対応ではなく、個別にカスタマイズした対策が求められます。

 

 

③ コストと効果のバランスを取る

 


 リスクアセスメントの目的は、現実的かつ持続可能な対策を講じることです。

 

 理想論だけでなく、現場で実践可能な内容を検討する必要があります。

 

 

④ チームでの取り組み

 


 リスクアセスメント個人ではなくチームで行うべきです。

 多角的な視点を持ち寄ることで、より幅広いリスクの特定と効果的な対策が可能になります。

 

 

⑤ 定期的な見直し

 


 一度対策を講じたら終わりではありません。

 施設や利用者の状況は日々変化するため、リスクアセスメント見直しを定期的に行うことが重要です。

 

 

リスクアセスメントを実施しない場合のリスク

 


 リスクアセスメントが行われない場合、以下のような問題が発生する可能性があります。

 

重大事故の発生


 利用者の転倒や誤薬、感染症など、施設の信用を損なう事故につながります。

 

職員の離職


 安全が軽視される職場環境では、職員のモチベーションが低下し、離職率が上昇します。

 

法的トラブル


 労働安全衛生法介護保険法に違反する場合、罰則や行政指導を受けるリスクがあります。

 

経営への悪影響


 重大事故や職員離職が続けば、施設運営そのものが困難になる可能性があります。

 

 

まとめ

 


 介護現場におけるリスクアセスメントは、利用者と職員の双方の安全を守るための重要な取り組みです。

 

 また、事故を未然に防ぎ、業務の効率化を図ることで、施設全体の運営にも大きなプラスをもたらします。

 

 

 この記事を参考に、現場で実践可能なリスクアセスメントの導入を進めてみてください。

 リスクを低減し、利用者も職員も安心できる介護環境を目指しましょう。