血液検査結果の解説と基準値

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ご活用ください。

 

血液検査結果の詳細(生化学検査)

表記

詳細

基準値

TP(総蛋白)

主にアルブミングロブリンに大別できます。アルブミンは、血液中の水分を一定に保つ働きをしており、グロブリンは抗体を作るなど、免疫機能の主力を勤めています。

6.7~8.3

(g/dl)

慢性肝炎肝硬変膠原病、多発性骨髄腫、高蛋白血症、脱水状態による血液の濃縮、グロブリン蛋白異常など。

重症の肝障害、肝硬変ネフローゼ症候群、栄養不良、消化吸収障害など。

Alb

アルブミン

血液の浸透圧調整の役割を担っています。

アルブミンの異常は肝障害の指標となります。

3.9~4.9 (g/dL)

 

重症肝炎、肝硬変、肝がん、低栄養状態、ネフローゼ症候群など。

A/G比(ヱージー比)

アルブミングロブリンの比です。数値が低いとアルブミンが低下してグロブリンが上昇していることを示します。

1.1~2.0

無ガンマグロブリン血症または低ガンマグロブリン血症など。

肝臓障害、ネフローゼ症候群、腎機能障害、栄養不良、慢性消耗性疾患、膠原病、多発性骨髄腫など。

T-Bil(総ビリルビン

ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンから作られた色素で、最初に間接型になって肝臓で直接型に変わり胆汁中に排泄されます。血液中には両方存在し、直接型と間接型を合わせて総ビリルビンと呼びます。

0.2~1.2(mg/dl)

肝臓、肝胆道系疾患、溶血性貧血、体質性黄疸、(新生児)など。

 

D-Bil(直接型ビリルビン

上記参照

0.4mg/dl以下

胆道閉塞や肝臓疾患による黄疸など。

 

ZTT (血清膠質反応)

血清中のたんぱく質のバランスに異常が起こったとき、コロイド(膠質)反応が起こりやすくなります。

4.0~12.0KU

慢性肝炎、自己免疫性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、慢性炎症など。

脂肪肝など。

CHE (コリンエステラーゼ

肝臓全体の変化の終末期で、肝細胞が働かなくなってコリンエステラーゼがつくられなくなり、血液中の値は低くなってしまいます。

168~470 U/L

脂肪肝(過栄養性、アルコール性)、ネフローゼ症候群甲状腺機能亢進症など。

有機リン剤中毒(農薬、サリンなど)、肝疾患:肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎、肝臓がんなど。

AST(GOT)(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)

主に肝臓や心臓にどの程度の障害が起きているかを知ることができます。

7~38 IU/L

急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がんなど。

 

ALT(GPT)(アラニントランスアミナーゼ)

心筋や骨格筋、赤血球中などにも多く含まれているASTと比べて、ALTは主に肝臓中に存在しているため、肝細胞の障害の程度を調べるのに適しています。健康な人ではALTよりASTが高値を示しますが、肝障害の場合、ALTの方が高くなります。

4~44 IU/L

 

ALTのほうがASTより3以上低いなら、疲労の原因となるB6不足の可能性があります。

ALP(アルカリホスファターゼ)

肝臓の障害や短観のつまりの有無を見る数値です。成長期や骨折後の回復期にも高くなります。

80~260 IU/L

急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、胆管結石、胆管がん、潰瘍性大腸炎、骨折、甲状腺機能亢進症、骨腫瘍など。

亜鉛欠乏、甲状腺機能低下症、遺伝など。

γ-GTP(ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ)

肝臓、腎臓、膵臓などに含まれている解毒に関わる酵素です。おもに肝臓や胆管の細胞に傷がつき、死滅したときに血液中で上昇すると考えられています。

10~50(成人男性)

9~32(成人女性)

急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がん、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎、薬剤性肝障害、胆道系疾患など。

 

LAP(ロイシンアミノペプチターゼ)

LAPはたんぱく質を分解する酵素で、肝臓や腎臓、腸などに多く存在し、また胆汁にも含まれています。

肝炎、肝硬変、肝がんなどで胆道が詰まり、胆汁の流れが障害されると、血液中に胆汁が逆流して、LAP値が上昇します。また急性肝炎や肝硬変でも上昇します。

男性:45~81U/L

女性:37~61U/L

肝炎、肝硬変、肝がん、閉塞性黄疸など。

 

LD(乳酸脱水素酵素

細胞内で糖がエネルギーに変わるときに働く酵素のひとつ(乳酸脱水素酵素)。全身のあらゆる細胞に存在している。

 

120~220U/l

急性・慢性肝炎、白血病心筋梗塞、悪性貧血など。

 

CK(クレアチニンキナーゼ)

転移酵素の一つで、骨格筋に最も多く含まれ、次いで心筋、脳などに多く含まれます。また、CKには細胞内局在の異なるアイソザイムが存在します。

男:38~196

女:30~172 U/L

異常高値:骨格筋疾患、心疾患、悪性腫瘍、妊娠など。

 

Ch-E(コリンエステラーゼ

肝臓で作られる酵素のひとつで、肝機能が低下すると値が低下します。また、脂質代謝にも関わっているため、栄養過多で起こる脂肪肝脂質異常症では値が上昇します。

男性:234~493U/L

女性:200~452U/L

脂肪肝、糖尿病、ネフローゼ症候群など。

肝硬変、慢性肝炎、低栄養など。

CK-MB

CK-MBは心筋梗塞ですみやかに上昇するため診断、病勢把握に用いられる。一般に発症後4~6時間で上昇し、18~24時間でピークに達し、治療が奏功した場合72時間後には正常レベルに復するといわれている。

5.0 以下  

ng/m

急性アルコール中毒心筋梗塞、心筋炎、開心術後、肥大型心筋症、横紋筋融解症、筋ジストロフィー、多発性筋炎、皮膚筋炎など。

 

AMY(アミラーゼ)

アミラーゼはでんぷん(糖質)を分解して糖にする酵素で、主に膵臓、睡液腺、耳下腺から分泌されます。この酵素は血液に混じった状態で全身を回った後、腎臓でろ過され、尿に排泄されます。

39~134

U/L(37℃)

急性膵炎、慢性膵炎、膵癌、膵嚢腫、耳下腺炎、慢性腎不全など

慢性膵炎の末期。

GLU(グルコース、糖)

グルコースは、生体内に存在する糖質の中で最も重要なエネルギー源です。

(空腹時)60~109  

mg/dL

糖尿病、末端巨大症や甲状腺機能亢進症などの内分泌異常。

インスリノーマ、副腎機能不全、肝硬変、インスリン・経口血糖降下薬の過剰投与。

HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)

高血糖状態が長期間続くと、血管内の余分なブドウ糖は体内の蛋白と結合します。この際、赤血球の蛋白であるヘモグロビン(Hb)とブドウ糖が結合したものがグリコヘモグロビンです。このグリコヘモグロビンには何種類かあり、糖尿病と密接な関係を有するものが、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)です。

JDSで6.1%以上

NGSPでは6.5%以上

糖尿病、その他高血糖を呈する疾患。(異常ヘモグロビン血症の場合、高値傾向)

溶血性貧血や出血など赤血球寿命が短縮している場合、低値傾向。

Fe(鉄)

膵臓や唾液腺の炎症がわかります。過剰に存在すると活性酸素を産生し細胞障害を起こします。

男:58~188

女:48~170  

μg/dL

鉄過剰症、肝疾患、無効造血、再生不良性貧血、溶血性貧血。

鉄欠乏性貧血、潜在性鉄欠乏症、栄養不良、真性多血症、慢性感染症膠原病

TIBC(総鉄結合能)

トランスフェリンの1/3 は鉄と結合しています。これを血清鉄と呼びます。残りの約2/3 は鉄が結合可能な部分でUIBC(不飽和鉄結合能)と呼びます。

男:245~402

女:235~432  

μg/dL

鉄欠乏性貧血、潜在性鉄欠乏症、真性多血症。

ネフローゼ症候群、慢性感染症膠原病や悪性腫瘍の一部。

BUN(尿素窒素)

血清尿素窒素は、主に腎機能のスクリーニングとして実施され、クレアチニンと併せて測定し、腎前性、腎性、腎後性の高尿素窒素血症の鑑別を行います。

8.0~20.0  

mg/dL

腎前性:脱水症、重症心不全、消化管出血。

腎  性:腎炎、尿毒症、ネフローゼ症候群、腎結石。

腎後性:尿管閉塞、膀胱腫瘍。

中毒性肝炎、劇症肝炎、肝硬変の末期、尿崩症。

CRE(クレアチニン

クレアチニンは、筋肉細胞内で筋肉収縮のエネルギー源であるクレアチンから産生される最終代謝産物です。

男:0.61~1.04

女:0.47~0.79  

mg/dL

GFR低下:糸球体腎炎、腎不全、うっ血性心不全

筋細胞増大:末端巨大症、巨人症

血液濃縮:脱水症、火傷

尿排泄量の増量:尿崩症、妊娠

筋萎縮:筋ジストロフィー、長期臥床の高齢者

Na(ナトリウム)

電解質成分の1つで、細胞外液中の陽イオンの90%を占め、浸透圧の調整や酸塩基平衡の維持(体内のpH を一定に保つ)に重要な役割を果たしています。

135~150  

mEq/L

嘔吐、下痢、発汗、尿崩症、高Ca血症、原発性アルドステロン症、Cushing 症候群。

急性・慢性腎不全、尿細管性アシドーシス、Addison 病、心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群妊娠中毒症、利尿薬投与。

K(カリウム

主に野菜や果物から経口摂取され、腸で吸収されたカリウム量と等量のカリウムが腎から尿中に排泄されます。

細胞の機能や神経、筋肉の興奮性、特に心筋に大きな役割を果たしています。

3.5~5.3  

mEq/L

細胞内からの移動:代謝性アシドーシス、家族性高K血症、周期性四肢麻痺、薬物(サクシニルコリン、ジギタリス、β-ブロッカーなど)、偽性高K血症(白血球増加症、血小板増加症)

腎からの排泄障害:急性腎不全乏尿期、慢性腎不全、Addison病、低アルドステロン症、抗アルドステロン薬投与

細胞内への移動:代謝性アルカローシス、周期性四肢麻痺

・薬剤:インスリン投与、高濃度輸液

・消化管からの喪失:嘔吐、下痢、吸収不良症候群

・腎からの喪失:浸透圧利尿、尿細管性アシドーシス、原発性アルドステロン症、Cushing 症候群、悪性高血圧、薬物(サイアザイド系利尿薬、ステロイドホルモンの長期投与)

Cl(クロール)

尿中クロールも尿中ナトリウムとほぼ並行して変動し、臨床的意義もそれに準じますが、違う点はクロールが消化液中に多量に含まれることで、消化液喪失では低値を示します。

98~110  

mEq/L

高Na血症、尿細管性アシドーシス、ネフローゼ症候群、呼吸性アルカローシス。

低Na血症、Addison 病、呼吸性アシドーシス、頻回の嘔吐。

Ca(カルシウム)

生体内で最も多量に存在する無機物です。その99%以上は骨や歯などに存在し、残りの1%は細胞内に存在します。血清中のカルシウムはわずか0.1%です。

8.6~10.1  

mg/dL

原発副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、ビタミンD中毒、サルコイドーシス、悪性腫瘍の骨転移、多発性骨髄腫、腎不全、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、Addison 病。

副甲状腺機能低下症、ビタミンD欠乏症、アミロイドーシス、急性膵炎、敗血症。

TG(中性脂肪、トリグリセライド)

食物として摂取される脂肪のほとんどがこの中性脂肪で、腸管で吸収され、血中でカイロミクロンとして存在しています(外因性中性脂肪)。

30~149  

mg/dL

高カイロミクロン血症、broad-β病、LPL欠損症、HTGL欠損症、糖尿病、肥満、動脈硬化痛風甲状腺機能低下症、Cushing 症候群、先端巨大症、閉塞性黄疸、急性・慢性膵炎。

無β-リポ蛋白血症、低β-リポ蛋白血症、甲状腺機能亢進症、Addison 病、下垂体機能低下症、肝硬変、吸収不良症候群。

UA(尿酸)

核酸の構成成分の1つのプリン体の最終代謝産物です。食物(肉類、豆類、きのこ類、ビールなど)に含まれる核蛋白、体組織の崩壊による核蛋白などから生成されます。

男:3.6~7.0

女:2.3~7.0  

mg/dL

一次性痛風:若年性痛風

二次性痛風白血病高脂血症、腎不全、糖原病Ⅶ型。

(サイアザイド系降圧利尿剤、ピラジナマイド、エサンブトール、サリチル酸などの投与で高値傾向)

生合成低下:キサンチン尿症、PNP 欠損症、肝硬変

二次性低下:Fanconi 症候群、Wilson 病、糸球体腎炎

(プロベネシド、スルフィンピラゾンベンズブロマゾンなどの投与で低値傾向)

 

 

T-Cho(総コレステロール

コレステロールは、血液中の重要な脂肪です。溶血血清や高ビリルビン血清で高値となることがあります。

130~220 mg/dL

 アルコール性肝障害、  閉塞性黄疸、家族性高コレステロール血症(Ⅱa型高脂血症)、ネフローゼ症候群甲状腺機能低下症、多発性骨髄腫、糖尿病、動脈硬化症、 broad-β病(Ⅲ型高脂血症)、LPL(リポプロテインリパーゼ)欠損症、妊娠。

重症肝障害、下垂体機能低下症、甲状腺機能亢進症、Addison病、 LCAT欠損症、Tangier病、悪液質、魚眼病、低β-リポ蛋白血症、無β-リポ蛋白血症。

HDL-C(HDLコレステロール)

HDL-コレステロールは、血液中の余分なコレステロールを肝臓に運ぶ役割をしています。善玉コレステロールとも呼ばれます。

40~110 mg/dL

長寿症候群、原発性胆汁性肝硬変、アルコール中毒経口避妊薬

急性肝炎初期、肝硬変、原発性肝癌、悪性疾患(とくに血液疾患)の末期、甲状腺機能亢進症、LCAT欠損症。

LDL-C(LDLコレステロール

コレステロールを細胞に届けているのがLDL-コレステロールです。

70~139mg/dL

Ⅱa,Ⅱb型高脂血症、家族性高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症甲状腺機能低下症、ネフローシス、肝障害。

低リポ蛋白血症、低LDL血症。

 

※基準数値は検査機関、検査方法等により基準値や表記が異なる場合があります。

 

 

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