本日も閲覧いただきありがとうございます。
本日はちょっとした読み物を掲載させていただこうと思います。
あくまでも考察、仮説の域を出ないものですのでご了承ください。
まずは本日のタイトルにあります「共依存」です。
共依存とは
自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている関係への嗜癖状態(アディクション)を指す。
すなわち「人を世話・介護することへの依存」「愛情という名の支配」である。
共依存者は、相手から依存されることに無意識のうちに自己の存在価値を見出し、そして相手をコントロールし自分の望む行動を取らせることで、自身の心の平穏を保とうとする。
(Wikipedia参照)
介護現場で良く見かける「利用者様の為に」と自らを犠牲にし、その価値観を同僚にまで求める方の一部に(全員じゃないです)共依存の状態に陥っている方がいます。
そ の方たちがその状態に至る理由について探ってみようと思い、本日の記事は筆者個人で考察した内容を掲載させていただきます。
主に医療主観で考察させていただきました。
1 利用者視点
最初に利用者様の生活環境を分析してみます。
・ADLの低下による活動範囲や頻度の低下
・子供や孫の結婚等による疎遠
・友人や親族との死別による交流の減少
そうならないように我々福祉関係者は様々なアプローチを行うのですが、現実として人間関係や行動範囲が年齢とともに狭まっていく方が多いのは事実です。
生活環境の経年変化というのでしょうか?
わかりやすくまとめると環境が徐々に閉ざされていく方が多いのです。
そこで、在宅生活を送っているのであれば訪問介護員であり、施設入所者であれば施設の職員とのかかわりが生活の中での「人との関わり」の大部分を占める人が少なくないでしょう。
心のよりどころとして、関わりの多い介護職員を選ぶ方が少なくないのではないでしょうか?皆様身をもって経験されていることと思います。
依存傾向が強い方は一定数いらっしゃいますよね?
その方々の心理状態をもう少し深く考えてみたときに一つの仮説をたててみました。
仮説1)
閉鎖されていく(された)生活環境の中、先の生活への不安を考えたときに頼れる存在として身近にいる介護職員しか頼る対象がいない人の心理状態が「ストックホルム症候群」に近い状態なのではないか?
ストックホルム症候群は、誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者についての臨床において、被害者が生存戦略として犯人との間に心理的なつながりを築くことをいう。
ただし臨床心理学における心理障害(精神障害)ではなく、心的外傷後ストレス障害として扱われる。
スウェーデン国外のメディアが事件発生都市名、ストックホルムに基づいて報道した経緯がある。
1973年8月、ストックホルムにおいて発生した銀行強盗人質立てこもり事件(ノルマルム広場強盗事件)において、人質解放後の捜査で、犯人が寝ている間に人質が警察に銃を向けるなど、人質が犯人に協力して警察に敵対する行動を取っていたことが判明した。また、解放後も人質が犯人をかばい警察に非協力的な証言を行った。
フランク・オックバーグ博士は、FBIとイギリス警察の交渉担当者に、次のように報告していた。
「人は、突然に事件に巻き込まれて人質となる。そして、死ぬかもしれないと覚悟する。犯人の許可が無ければ、飲食も、トイレも、会話もできない状態になる。犯人から食べ物をもらったり、トイレに行く許可をもらったりする。そして犯人の小さな親切に対して感謝の念が生じる。犯人に対して、好意的な印象をもつようになる。犯人も人質に対する見方を変える。」
職員に好意を持ってほしい一心で似たような心境になる方がいるかもしれませんね。
(Wikipedia参照)
利用者様が自分の生活を考えたときの生存戦略(ってほどでもないですが)として少しでも安心した生活を送るために身近で頼れる人に頼ろうとする結果、依存傾向が発生する方がいるのではないでしょうか?
2 職員視点
これは利用者視点と真逆となるのですが、起きている時間の大半を職場で過ごす方が多いと思います。その中で、介護現場で人間関係がよくないケースが多いことは皆様承知していると思います。
その職場環境の中で組織や同僚に認められたい、正当な評価を受けたいと思う人は少なくないと思います。そして介護業界の組織の中で正当な評価を受けることが非常に難しいです。
誰かに認められたい、必要とされることで自分の精神を保ちたいと思うのは自己防衛の一種であり、当然の欲求であると思います。
その対象が利用者様に向き「利用者様から必要とされたい」「利用者様のよりどころでありたい」と考える純粋な介護職員が匙加減がわからなくなった時「リマ症候群」に近い心理状態に陥ると考えています。
リマ症候群
ストックホルム症候群と同様の状況下で、監禁者が被監禁者に対して同情的な態度をとるようになる現象が提示されており、「リマ症候群」と呼ばれている。監禁者が考えを改めたり、被害者に対して共感を覚えることもあるとされる。
リマ症候群は、1996年から1997年にかけてペルーのリマにおいて発生した在ペルー日本大使公邸占拠事件にちなんで命名された。
このとき武装した一団は、各国の駐ペルー特命全権大使、日本企業のペルー駐在員ら約600人を人質にした。
しかし監禁者の一団は人質に同情し、数時間以内に200人以上の人質を解放した。
職員が利用者様を監禁しているわけではないのですが、閉塞された空間の中で相手に対しての共感を示す一点に関して似ているのではないでしょうか?
上記の二つの視点でお話した一方の内容が成立したときに依存傾向が発生しやすく、もう片方の視点で説明した内容が発生しやすくなる。
そして両方の視点で説明した内容が発生した場合、極めて高い確率で共依存の関係性に発展するのではないかと考えています。
何の実証もしていない仮説ではありますが、この仮説を仮定として考えると
・依存傾向にある利用者様
・依存を求める、依存傾向にある介護職員
その双方は介護施設や生活環境がもとに起こる症状として共依存が発生するのではないか?
というお話です。
それぞれの生活環境が全く異なるために、なにをどうするれば回避できますという具体案は出せないのですが、共依存に到る前の防衛策に役立つかもしれないと思ったことと、依存傾向の強い利用者様のケアを行う上で何かのヒントになるかもしれないと思い本日の記事を書かせていただきました。
あくまでも筆者の考えた仮説であり、根拠も無いものです。
こういう考え方してる人が一人いるんだな程度の読み物としてお納めください。
carestepzeroより皆様へ