皆様勤務お疲れ様です。
本日ご紹介させていただきたい事は「職員の声掛けの大切さ」についてです。
結論から申し上げますと
職員が声掛けを行う事により日常の動作や体操、運動の効果が向上する
ということです。
ブライアンクラーク博士の研究論文を見たことがある方いらっしゃいますか?
・29人の被験者の利き手と反対の手にギプスをつけて4週間固定
・イメージトレーニングをするグループとしないグループ2つに分ける
・具体的なイメージを指示し、5秒間の想像と5秒間の休憩を交互に13回を1セット
・各セットごとに1分間の休憩をはさみながら1日に4セット(計52回)を週に5日間行う
この実験の結果が
・ギプスで固定された被験者たちの筋力は45%低下した
・イメージトレーニングをした筋力の低下は23%低下した
実際に動かしているのではなく、イメージするだけで50%ほど低下率を抑えているとすると、これは驚異的な数値ではないでしょうか?
実験後の回復もイメージトレーニングを行っていたグループのほうが早かったそうです。
この論文の中で以下のように議論されています
「これはおそらく大脳皮質レベルの神経学的メカニズムが、筋肉の不使用による筋力低
下を誘発したものと思われます。
そして想像することによる皮質領域への定期的な刺激が、筋力低下と神経系の随意的活
性の衰えを緩和してくれたのではないか」
この実験結果を踏まえたうえで次のお話をさせていただきます。
・上記の実験と同様に、動作時に介護職員が行う声掛けに同様の効果が見込めるのではないか?
・体操やリハビリを行う時に相手が動かす部位に意識を向けてから行うことで効果が上昇するのではないか?
というものです。
実際に実験や統計をとったわけではないので仮説の域は出ませんが、期待値は低くないことはわかると思います。
例として集団体操を行う職員の声掛けの違いを記載します。
「これから体操を行います。僕と同じ動きをしてください」
と声をかけるのと
「これから肩の体操を行います。肩を上げ下げしますので(事前に動作を見せる)、しっかり自分の動いてる姿を想像しながら肩を動かしてください」
と声のかけ方を変えるだけです。
合わせて流れるように体操を行うのではなく、1動作ごとに動かす部位を説明して見せることでより効果的な運動やリハビリが行えるかもしれません。
ここからは可能性の話になりますが、同様の効果に似たものを記憶や神経系にも期待できるのではないでしょうか?
記憶のメカニズムで短期記憶は海馬に蓄積されますが、繰り返し行う事で手続き記憶として(技能記憶、連合記憶とも呼ばれます)大脳基底核や小脳に保存されます。(わかりやすく言うと体で覚えている状態)
仮説1
声掛けを繰り返し行う事で、手続き記憶化が速やかに行われる可能性
繰り返し耳からの刺激が加わることによって記憶の形成の助けになったり、海馬に記憶
された内容の維持にも効果が期待できるのではないでしょうか?
実証も実験もできていませんが、普段の勤務を通してみていると思い当たる部分があります。
帰宅願望が強い方をみていると、離設の方法を覚えるのが異常に早く感じることはありませんか?(特にアルツハイマーの方)
体感ですが、この内容に共感していただける方が多ければ、可能性は高いと思います。
この仮説をどのように現場で活用できるかは環境と使用者次第といったところではあり
ますが可能性を広げる考え方として本日提案させていただきます。
いかがでしたか?
前半に述べました「職員の声掛けを大切さ」という点に絞れば実験結果から効果が期待
できるものと思います。基本技術としての声掛けは行ってあたりまえですが、このよう
な視点を持つことにより重要性が増すかもしれません。忙しい時には雑な声のかけ方に
なってしまうかもしれませんが、声のかけ方を一度見直してみませんか?
後半の仮説は筆者の想像ですので、読み物としてお楽しみいただけたらと思います。
carestepzeroより