介護福祉士の専門性について考えてみました

ご閲覧いただきありがとうございます。
 
今日は介護福祉士の専門性について考えてみました。
 
1 取得の過程から考える専門性
まず介護福祉士になる為の要件を整理します。
専門学校や福祉大を経由した受験に関して本日は省略させていただきます。
 
 
介護福祉士を受験に必要な事
 
・実務経験3年
 
・介護職員実務者研修を修了する
 
・国家試験に合格する
 
 以上が介護福祉士を取得するのに必要なことですが、それを踏まえて介護福祉士の専門性を考えていきたいと思います。ちなみに実務者研修を受けていない方も多いと思いますので簡単に説明させていただきますが、介護職員実務者研修は専門学校の2年過程と同程度の内容を実施しています。
 
この内容を簡単に文章化してみました
 
介護福祉士は、一定期間(3年)以上の実務経験を有し、所定の研修を受け、国家試験を合格した者
 
簡単に言うとこんなところでしょうか
 
でもこれでは一定以上の経験と知識がある人というだけで、専門性については触れられていません。

次によく比較の対象になる資格と比較してみましょう。
 
准看護師の場合
 
・2年間の入校(履修1890時間以上、実習735時間以上)
 
都道府県が実施する試験に合格(都道府県知事認可になります)
 
これを介護福祉士と同じく文章化すると
 
指定を受けた学校で一定時間以上の教育と実習を経て、都道府県が実施する試験に合格した者
 
となります。
 
ここだけを見るとそんなに大差はなさそうに思えますね。
 

2 資格取得前の業務と資格取得後の業務の違いから専門性を考える
 
取得後の業務にどのような違いがあるでしょう?
 
介護福祉士は取得前と取得後で業務の違いはほぼありません。
 
会社ごとに多少の違いはあるようで、その一例を紹介させていただきます。
 
・法人によっては介護福祉士でなくては夜勤に入れない。
 
・実務者研修を修了して介護福祉士を取ると痰吸引が可能となる(従来の介護福祉士も喀痰吸引を修了することで可能となります)
 
その他の違いは見つけることができませんでした。
 
・各医療行為が実施可能となる。
 
・福祉の現場だと、個別機能訓練加算の実施者になることが可能となる。
 
など、取得後に業務の幅が広がります。
 
 看護師の資格を取得しなくては出来ない業務があるという点は専門性として認められる部分だと思います。介護福祉士は資格をもっていなくては出来ないという明確な業務が無いというのが専門性を疑問視される理由かもしれませんね。
 
3 利用する側の視点から専門性を考える
 
 病院か施設かの違いはありますので、柔軟に解釈していただきたいのですが
わたしたち業界の人間ではなく、利用する側の認識はどうでしょう?
 
独自に調査を行ってみました。
 

調査人数142件(介護保険適用施設内の調査で家族聞き取り含む)
 
看護師に望む内容(重複あり)
 
1 ケガ、病気の看護  136件
 
2 急変時の対応    78件
 
3 生活の支援     38件
 
介護福祉士に望む内容(重複あり)
 
1 生活の世話           125件
 
2 不自由な部位、出来ない事の支援 81件
 
3 急変時の対応(通報含む)    56件
 
聞き取りに際して看護師を准看護士と限定せずに調査しました。

 調査対象の人数が少ないのでこれを元に考えると偏った回答になるかもしれないことをご了承ください。そのうえで上記の回答を見たところ、看護師に望むことは具体的な内容が多く見られました。それと比較して介護福祉士に望むことは少し漠然としていることにお気づきでしょうか?
 
 利用する側からみて介護福祉士とはどんな仕事であって、何ができる人たちなのか
イメージはあっても具体的な内容がわからないという意見は多く見られました。中には「本人の望むことを望むとおりに実現してあげたい。そのために本人の言う事はどんなことでも聞いてください」という意見や「昔はこれでも本当にお金のある暮らしで立派な人でした。余生はそんなに長く無さそうなので、動ける間は出来るだけ付き添って
歩いて欲しい」というご意見も頂戴しました。
 少数ではありますが、上記以外にも「無理をせず自然な形で余生を過ごして欲しいと思っています。そのために必要な支援を家族と一緒にお願いします」と(業界経験者かもしれませんが)施設に入所した後も主介護者として自覚してらっしゃる方もいらっしゃいました。(本当に頭が下がります)
 
 介護福祉士の通常行っている業務、できる業務を一覧にしてお見せすれば良いのではないでしょうか?
と筆者が考えたもので、まとめてみました。
 
・食事、入浴、排泄、移乗、歩行、更衣、整容で本人が出来ない事の補助
 
・料理、掃除、洗濯、買い物などの家事のうち出来ない事の代行
 
(相談援助業務や余暇活動などは省略しました)
 
 非常に大雑把ですが、上記を見てお気づきになられましたでしょうか?
介護福祉士の行う業務の大半は
相手が元々出来ていたことのうち病気やケガや加齢等を理由に出来なくなった事の部分援助
と表記してもいいのではないでしょうか?
 
 
 わたしたちの仕事の本質が上記であるなら、業務内容に専門性は無いほうが自然です。相手が出来なくなったのか、出来るのに機会が無くてやっていないのか、出来るのにやらないのかを判断することができ、残存能力をいかに発見して引き出すことが出来るのかという部分に介護福祉士の専門性はあるのではないでしょうか?
 
 利用者様の家庭環境、家族構成、本人の希望、家族の希望、経済状況などを考慮した上で行える介護の専門性に合わせ医療面では医療職と、動作面ではリハビリ職の方と連携して行う事でより質の高いケアにつながると考えます。
 
 明確に断言するまでには至らないものの、このような視点も面白いのではないでしょうか?どの職種の方からも「この分野は介護職の人にお願いしよう」と言われる日がくるといいですね。

いかがでしたか?
 
 本日の記事は筆者の思う一例ではありましたが、皆様が思う専門性や仕事の性質もあると思います。芯にあるのは「利用者様のより良い生活の為」という視点は皆様一緒です。それが思いやりからくるものであっても、プロ意識からくるものであっても良いと思います。
 
同じ方向を向いて今日も一緒に頑張りましょう!
 
 
 
carestep zeroから皆様へ